娘の授業参観に出てきました。
娘からは「今日は警察犬の話だから来なくてイイよ」と言われていたのですが、末娘の中学校最後の授業参観だし…と後ろのほうで見ていたら、警察犬ではなく盲導犬についての「出前講座」でした。しかも、盲導犬を連れていたのは、一般社団法人コミュニケーションスキル開発協会で「盲導犬セミナー」を行なっている井出茂樹さんでした。
実は、井出さんと私は40年前、同じ入西幼稚園に通っていました。当時は“逆立ちして歩ける体操のお兄さん”だった先生が、今では園長先生になっていました。40年前の記憶がよみがえる井出さんの講演でした。
私は、2009年(平成21年)から途切れることなく11年間中学生の保護者を続けています。PTA副会長もさせていただきました。
11年間ではありますが、最初の5年は浅羽野中学校、6年目は長女がソフトボールのある坂戸中学校を選んだので、次男とは別の中学校に。長女が卒業して次女が入学するタイミングで私の勤務地が東京になり亀戸に「短期留学」しましたが、半年後に坂戸に戻り、気がつけばもうすぐ卒業です。「末娘の最後の授業参観」は、私にとっても子育て「最後の授業参観」だったのでした。
授業参観の内容は、障害者支援を学ぶことでした。そして、わからないことは人に聞くという、障害に関係なく、人として困った時の次の行動について教えてくれました。
視覚障害と言っても全盲で全く見えないという方は1割しかいないそうです。9割の人は弱視としって見えづらい人です。見えづらさの違いもあり、ぼやけるだけでなく一部分だけ欠けて見えたり、光だけを感じたり、人によって様々な見え方があるそうです。
講師の井出さんは、もともと目が見えていたので、ホワイトボードに字を書くことができます。そこで書いて教えてくれたことを紹介します。
- ふくしとは
- ふ 普通に
- く 暮らせる
- し 幸せ
- 思いやり算(足す引く掛ける割る)
- +(たす)助ける
- -(ひく)引き受ける
- ×(かける)声を掛ける
- ÷(わる)いたわる
人が何かを知って行動するまで、普通の順番としては
- 知る→覚える→考える→行動する
です。これを入れ替えて
- 知→覚→動→考
「ちかくどうこう」と読んでしまいそうです。
井出さんの解説は、「ともかくうごこう」です。お見事! 考えるのは最後でいいそうです。失敗してから次に同じことをしない様に気をつけて行動する。この話にはとても納得で、生徒も保護者も先生方もみんな真剣に聞いていました。
わからなかったら聞く!
井出さんの伝えたかったことは、行動して間違えて失敗しても、知識だけ詰め込み行動できない人より、初めての挑戦をしてわからなかったら聞く、迷ったら聞くという選択をしたほうがよいということでした。
聞いて教えてもらえばよい、できないことなんて何もない。行き先がわからなかったら人に聞く。
視覚障害者でも、盲導犬が行きたい場所へ連れて行ってくれるわけではない。当たり前のことだけど、盲導犬は優秀な犬だから人間が困らないように助けてくれると勘違いしてしまい、立ち止まっていても盲導犬がいるから大丈夫。何かお困りですか?と声をかけなくても大丈夫だろうと勘違いしてしまいがちですが、やはり犬は犬です。できる役割以外の要求はできません。
今回の講義では視覚障害者の援助の仕方だけでなく、人はチャレンジして成長できると言う話でした。白杖を持っている人や盲導犬を連れている人が困っている時は、まず声をかけて聞いてあげてほしいと言っていました。
井出さんは、「身体障害者補助犬法」も教えてくれました。
身体障害者補助犬法は、2002年(平成14年)12月にできて、2008年(平成20年)に改定されています。改定から10年以上が過ぎたけれど、知らないことが多くて知ってるつもりの間違えに気がつきました。
盲導犬と一緒だから介助やサポートはいらないと勘違いしている人が多いという話と、役所の対応の悪さもこれは俺で最後にしてほしいと怒りと悲しさと納得いかない経験もたくさんされていて色々と教えていただきました。
この授業を準備してくれたのは、将来盲導犬訓練士を目指してるバレー部の娘の後輩でした。
私がバレー部の保護者であることがわかっていたようで声をかけてくれました。彼女の夢を語る目がキラキラしていて、その夢に近づけるようにお母さんも協力していて、本当に素敵な親子だなぁと心がホカホカになりました。
他の学校でも井出さんの話を生徒に伝えられるように、活動を続けてくれています。次回は西坂戸の城山学園で予定されているそうです。私もサポーターの一人として、福祉活動へ参加するためのきっかけづくりを手伝いたいと思っています。一人でもできる思いやりの行動は学んでこそ実践できます。
思いやりのあふれるまちづくりは、こうやって育まれるのでは。思いやりは、意識もあるが心が感じた行動。その時心が動いたからこそ、できる、思いやりの行動。喜ばれることは、ひとつでも多くやれたらいいと思います。
帰りの車の中、そんな話を娘としながら講義の内容を思い出し、更に娘とシェアリングしました。
井出さんと盲導犬ロンドには、市内全ての学校の生徒に会っていただきたいです。これからも、坂戸市の子供たちに、夢や希望が膨らむ今日のお話を聞かせてあげて欲しいです。