「防災士資格取得試験」に合格しました。防災士試験では、災害時被災者の支援をするために必要なことを、過去の震災や水害を例にあげ、最善の行動が取れるように、正しい判断ができるように、専門分野の講師が2日間かけて受験者に講義します。

1ヵ月前から事前学習用のテキストと10時間かかる宿題が送られてきます。1日目に宿題提出があり、2日目の最後にとても難しいテストがあります。
グループワークもあり、どんな人が参加されているかがわかりました。幸手市役所の防災安全課の方も大阪の教育委員会の方もいました。行政の補助金を利用したり、会社の研修費で参加されている方もいました。またヘルメットの販売をしている方や介護施設で働く方もいました。
受講料が高いためか、160名皆さん志が高く、真剣に学んでいました。得るものが大きいのですから、受講料を安くして多くの人に受けてもらっても意味がないようにも思いました。学びたい気持ちにお金を使うことは、目に見える物として残らないので、それぞれの価値観が異なるにしてもです。
私が受験するきっかけをくれたのは、埼玉県防災士会の鈴木一郎さんとの出会いです。
出会いの際に参加した「台風19号にまつわる彩の国情報共有会議」は、近隣市町村のボランティアに関わる人たちが、より効果的に支援できるように市町村を超えて、今被災者の方と支援する人の困り事をどのように解決したらよいか、事例をもとに伝え合う会議でした。
共通の問題を抱える人の集団ですので、人の話を聞くだけで、次の行動に動けるエネルギーをもらうことができました。
災害ボランティアセンターに関わる人たちが多く、困っている人と助けたい人のマッチングで救われる人がいて、一人でも多く、一日でも早くと、復興に向けて議論しました。グループワークの時に目の前に座っていた方が防災士の鈴木さんでした。
名刺交換して、防災士の説明を聞き、ぜひ私も勉強させていただきたいと思い、11月17日に「防災士試験」の申し込みをしました。
そして、防災士になるための実践として、隣町の大きな被害にあった早俣地区の廃棄物の搬送をお手伝いさせていただいたり、災害物資センターの運営を教えていただいたり、公民館の避難所へは毎日様子を見に行っていたので、現場で必要な情報について、台風の日から自問自答を繰り返していました。
私は人の命を預かる保育の仕事をしているので、預かる命の守り方は日々考えています。
命を預かると言うことは、雇用においても働く職員の“事前にできる安全対策”はしておかなければなりません。
園児の保護者の方の安全も、通園路についても、悪天候の時のことにしても、予想しておくことで、「想定の範囲」として受け止め行動できるようにしておくことが、いかなる場合にも、次の行動を見つけだすために必要であると思いました。
勉強する機会を試験という目標に向けて作らないと、まとまった時間を勉強に費やすことが難しいので、試験前日は朝まで1秒も寝ることなくペンだこができるほど学習しました。知りたいことを知ることには不思議と興味があるので、読んでいて眠気が来ませんでした。
試験が終わってホッとする間もなく携帯が鳴り、病院の紹介で事前登録いただいていた外国人の妊婦から「陣痛が始まりパパと連絡が取れないので助けてほしい」と連絡が入りました。
私は都内にいたので、出動できるスタッフに連絡をして、病院へ迎えに行く人、上の子の保育をする人、いつどこで誰が何をどのようにするのかオペレーションしました。坂戸の職場に到着してからは睡眠不足で運転できる条件を満たしていなかったので、何とか生まれる寸前に病院へ向かうことのできたパパを迎えに、運転するスタッフと共に病院へ行き、親子を自宅まで送り届けました。
震災でも水害でもありませんが、子供が産まれる日と言うのは台風の日のようで、陣痛予想はするけれど予想どおりには進みません。
陣痛を待機して緊急保育を行なう仕事を始めて7年。登録して実際に保育を必要とする人は1割ですが、それでも100人を超える陣痛時の対応をしてきました。防災士の勉強は自分がこれまでやってきたことに共通することが、多く本当に役に立つ内容でした。